犬服の大手メーカーと小規模ブランドのパターン設計の違いとは?

みなさんは、犬服のパターン(型紙)の設計について興味を持ったことはありますか?

実はパターン設計で動きやすさ、快適さが変わるのです。

デザインや価格はすぐに目につきますが、パターンまで考える人は少ないかと思います。
しかし、同じサイズ表記でもパターン設計よって着用感がまったく違うこともよくあります。

この記事では、大手メーカーと小規模ブランドのパターン設計の違いを、プロ視点で詳しく解説していきます。

大手メーカーの犬服のパターン設計とは?

大手メーカーでは、大量生産に最適化されたパターン設計をしています。

なぜなら、数千〜数万着を一度に大量生産するため、効率かつ汎用性が最優先されます。

つまり、

  • 体型差に左右されにくい形・素材
  • 生地のロスが少ない
  • 裁断や縫製工程が単純

というような大量生産しやすいパターンを採用することが基本です。
その分、個体差への配慮やフィット感の追及など、凝った仕様にはしにくいのです。

大手メーカーの犬服に多い構造の特徴

効率かつ汎用性をベースに作られることの多い大手メーカーの犬服は、以下のような特徴があります。
※必ずしも、すべてが当てはまるわけではありませんので、参考程度にお読みください。

  • 胸ぐり・・・浅めで直線的
    • 裁断しやすく生地ロスが少ないが、前足が抜けやすくなることがある
  • 袖ぐり・・・広くゆるめ
    • どんな犬種にも適応するが、フィット感がなくもたつくことがある
  • パーツの数・・・少なめ
    • 縫製が早く縫い目も少ないが、平面的なシルエットになる

複雑な構造で設計してしまうと、生地ロスも多く裁断や縫製にも時間がかかるし、技術差が出やすくなってしまいます。

小規模ブランドの犬服のパターン設計とは?

受注生産や小規模生産を行う小規模ブランドは、量ではなく1着ごとの完成度を優先する傾向にあります。
大量生産ができない代わりに、こだわりや柔軟性が活かされています。

つまり、

  • 犬種や骨格を細かく想定したパターン構築
  • 生地の厚みや伸縮性が考慮された縫製
  • サイズ調整や名入れなどのカスタム対応

というような顧客に寄り添った柔軟で緻密なパターン設計をベースにしているところが多いです。
小規模生産ならではの強みを売りにしています。

私がパターン設計をする時も、実際に犬に試着をしてもらって、1mm単位で線を修正していく作業をしています。

生産工程と設計思想の違い

大手メーカーと小規模ブランドでは、パターンを作る際の考え方も異なります。

流れ作業をいかに効率よくコスパよくできるかを前提とする大手メーカーに対して、小規模ブランドでは実際に試着をおこない繰り返し修正しながらパターンを設計していきます。

大手メーカー:流れ作業前提

  • 汎用サイズを数パターン作成
  • コンピューターで一括展開
  • 縫いやすいようにラインを微修正
  • 大ロットで裁断・縫製

小規模ブランド:試着前提

  • 犬に試着させて、シルエットや動作の検証
  • 必要に応じて修正を繰り返す
  • 生地の特性に合わせて修正
  • 少数ごとに裁断・縫製

生産にかかる時間やコストにも大きな差があります。
大量生産が強みの大手メーカーは新作を続々とリリースできますが、小規模ブランドでは1着リリースするのにも時間がかかります。

どっちの方がいいの?目的・用途別の選び方

汎用的でデザインや種類が多い大手メーカーと、快適性重視の小規模ブランドではどちらがいいのか?という疑問もあるかと思います。

優れているポイントはそれぞれ違いますので、自分の目的や用途に合う方を選ぶと良いでしょう。

目的・用途向いているブランド
コスパ重視、ブランド重視大手メーカー
散歩などで気軽に使いたい大手メーカー
多くの選択肢から選びたい大手メーカー
動きやすさやフィット感重視小規模ブランド
長く使える品質重視小規模ブランド
サイズ調整などのカスタムをしたい小規模ブランド

量産品の犬服だとどれも合わない…と感じている飼い主さんは、一度小規模ブランドを利用してみるのもおすすめです。

パターン設計は見えないブランド力

アパレルブランドを作るうえで、最もコピーされにくい(しにくい)のがパターン設計なのです。
デザインや生地は真似できても、着用時のシルエットや動きやすさはなかなか再現できません。

ブランド=デザインという印象が強いですが、その影でパターン設計も大きなブランド力となっています。

私たち人間の服でも、「同じサイズ・形なのにこの服の方がシルエットが綺麗」「身体にフィットしている」と感じたことはありませんか?
その差の正体はパターン設計によるものなのです。

シルエットやフィット感に優れた服は、その裏側で何十回も修正された線の集大成なのです。
デザインをより良く見せる縁の下の力持ち的な存在でもあります。

人の服は量産品でもある程度形にこだわって作られますが、犬服はまだまだそこまで重要視されていないのが現実です…。

まとめ

大手メーカーでも小規模ブランドでも、それぞれに強みと弱みがあります。
良し悪しのポイントはそれぞれ異なるので、自分の目的や用途に応じて「どっちが合っているのか」を判断することが大切です。

これから犬服デビューをするという場合は、まずは大手メーカーから試して、気になるところがあれば小規模ブランドを試してみると良いでしょう。

パターンの違いを知るようになってくると、自分がこだわりたいところも見えてくるはずです。

ほんの数mmの差でも意外とラインが変わったりするのが、パターン設計のおもしろいところでもあります。

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