ブランドによって「サイズが大きくなるごとに値段が高くなる」場合と「どのサイズを選んでも同じ値段」の場合がありますよね。
シンプルに考えると「使う生地の量が増えれば値段も上がる」と思うかもしれませんが、その裏にはブランドの戦略や生産コストの考え方の違いなどの様々な理由があるのです。
この記事では、サイズごとに値段を変える理由と、同じ値段にする理由をそれぞれ詳しく解説していきます。
サイズごとに値段を変える理由
まずは、大きいサイズのほうが値段が高いブランドの理由から見ていきましょう。
1. 生地の使用量が多いから
もっともわかりやすい理由が生地の使用量です。
当然ながら服はサイズが大きくなればなるほど、必要な生地の量が増えます。
特に犬服の場合、2kgくらいの小型犬用と40kg以上の大型犬用では、使う生地の量は2倍どころでは済みません。
サイズ展開が多いブランドほど、サイズごとに値段を変えることが多いです。

小型犬用のみ取り扱うブランドも多いですよね。
2. 付属品や裁断や縫製の負荷が増えるから
サイズが大きくなると、ただ生地の使用量が増えるだけはでなく、ボタンやファスナーなどの付属品や裁断や縫製の負荷も増えてしまいます。
その結果、材料費や工賃が割増しになります。
サイズが大きい犬服は、裁断や縫う距離の長さから時間的な負荷はありますが、技術的な面でいうと、縫製が一番難しいのは超小型犬サイズなのです。
びっくりするくらいパーツが小さいので非常に細かな作業になり、作る側からすると一番高くてもいいくらいに思ってしまうほど…。



折り紙でも小さい紙の方が折りづらくて難しいですよね。
3. 需要の少なさから生産量が少なく割高になる
大量生産品の場合、小型犬用は需要が多いので大量ロットで生産ができる反面、大型犬用は需要が限られているためロットが小さくなり、1枚あたりの生産コストが高くなることがあります。
工場のラインを小ロットで動かす場合には、裁断や縫製の準備にもコストがかかるため、結果的に価格が上がってしまいます。



大量生産には在庫リスクがつきもの。
だからこそ、大型犬用の犬服を扱うブランドが少ないのも無理はありません。
サイズに関わらず値段を同じにする理由
次に、どのサイズを選んでも値段を変えない理由を見ていきましょう。
1. 価格差による離脱を防ぐため
特にネットショップでは、サイズごとに値段が違うだけで離脱率が上がる(買うのをやめてしまう)ことがよくあります。
最初に目に留まるページには最低価格が表示されることが多く、サイズ選択欄で急に値段が変わってしまうと、心理的に少しがっかりしてしまう人も少なくありません。
そのため、ブランドの販売戦略としてワンプライスにしているブランドも多いです。



絶対欲しい!という商品でない限り、サイズで値段が変わると「やっぱりいいか…」となってしまいがちです。
2. 全体のバランスで利益を確保
すべてのサイズを同じ値段にする場合は原価の平均値で価格設定をすることが一般的です。
利益率が高い小型犬用の小さいサイズと、利益率が低い大型犬用の大きいサイズ、その他のサイズの利益率を平均して、全体の価格のバランスを調整しています。
シンプルに考えると「小さいサイズの方が売れれば黒字傾向、大きいサイズの方が売れれば赤字傾向」となります。



小型犬用の犬服の方がデザインに凝っていたり種類が多いのも、多く売れるようにするためかもしれません。
3. ブランドイメージを統一するため
「Sサイズだけ安い」「XLサイズから高くなる」など価格差がつくと、不平等感を感じてしまう人も少なくありません。
すべてのサイズを同じ値段にすることで、消費者に「平等」「安心感」を与えることができるのです。
消費者からするとどちらかお得なの?
すべてのサイズが同じ値段の場合
大きいサイズであればあるほどお得ですが、小さいサイズは割高の可能性があります。
これは、小さいサイズの利益で大きいサイズのコストを補っているからです。
サイズごとに値段が違う場合
コストを忠実に反映しているので、サイズによる大きな差はありません。
一見、不平等に思えがちですが、コスト面で考えると実は平等なのです。
まとめ|値段の違いには理由がある
ブランドによって、サイズで値段が違ったり同じだったりするのは、原価や生産体制・販売戦略・ブランドイメージなど複数の要素が絡み合って反映されています。
- サイズ別価格は「原価に忠実=実は平等」「コストを明確に反映」
- 同一価格は「心象的に安心感を与える=ブランドイメージの統一」「サイズ別のコスト差で利益を補う」
どちらが良い or 悪いではなく、「なぜその価格設定なのか」理由を知ることができると、納得のいくお買い物ができると思います。