ペットショップの売り場やネットショップを見ると、小型犬用の可愛くてデザインに凝った犬服はたくさんありますが、大型犬用の犬服は種類も少なく、小型犬用に比べて地味なものが多いですよね。
この記事では、大型犬用の犬服が圧倒的に少ないことと、地味なデザインが多い理由について詳しく解説していきます。

ぼくは8kgの中型犬よりの小型犬なんだけど、ぼくのサイズでさえ取り扱いがないブランドも結構あるんだよね…。
大型犬の犬服が圧倒的に少ない理由
理由1. 原価が高い(生産コスト)
大型犬の犬服は、小型犬よりも生地や縫製などの生産コストが圧倒的に高いのです。
2kgの前後の超小型犬と40kg前後の大型犬とでは、新生児の服と大人のビッグサイズくらい大きな差があります。
- 生地の使用量が多い
- 大型犬の場合、小型犬の3~5倍の生地が必要。高品質素材なら価格はさらに跳ね上がります。
- 裁断や縫製の手間が増える
- 生地量が多いため、裁断や縫製にも時間がかかります。
- 装飾品などの素材コストも増える
- フードに通す紐やジッパー、ボタンなども多く必要なため、パーツ類のコストも高くなります。
生産コストは数倍になるわりには、数倍の価格に設定しにくいことも、大型犬の犬服が少ない理由につながります。



同じ犬服で、小型犬用が3,000円、大型犬用は9,000円だとすると、消費者的には「え?なんでこんなに高くなるの?」というマイナスなイメージにつながりがちなので、生産コストと価格設定のバランスが取りづらいのです。
理由2. 需要の少なさ
特に日本では小型犬が圧倒的に多いため、大型犬用の犬服の需要が少ないことも理由のひとつです。
- 売れ残りのリスク
- 需要が少ないのに大量生産すると、売れ残りが発生してしまいます。
- 小ロット生産も悩ましい
- 売り切るために小ロットで生産すると、単価が上がり、販売価格に影響してしまいます。



日本における大型犬飼育率は10%以下とも言われています。
理由3. 在庫リスク
大型犬用もサイズを細分化すると、3~4段階のサイズが必要になり、その分在庫のリスクも大きな課題となります。
- 在庫の管理費負担が増す
- 売れないわりに、スペースコストや管理工数も高く負担が増えてしまいます。
- 売れ残った時の損失が大きい
- 原価の高さや処分コストからも、売れなかった時の損失が大きくなってしまいます。



小型犬専門のショップが多いのも頷けますね。
なぜ大型犬の犬服は地味になりがちなの?
大型犬の犬服は小型犬に比べて、シンプルなデザインのものが多いと感じたことはありませんか?
これにもいくつかの理由があります。
機能性が重視される
散歩やアクティビティなど日頃から運動量が多いため、「見た目の可愛さよりも機能性が優先する」傾向が高いです。
動きやすさや着脱のしやすさ、耐久性が重視されます。
安全性の問題
リボンやボタンなどの装飾品を嚙みちぎってしまったり、誤飲してしまうリスクがあります。
もちろん誤飲リスクは小型犬にも言えることですが、大型犬の場合はパワーが格別なので嚙み砕いて破壊してしまうと、思わぬ事故やケガにつながりかねません。
ターゲット層の違い
小型犬の飼い主さんは「ファッション性を重視する」傾向があるのに対して、大型犬の飼い主さんは「機能性や実用性を重視する」ことが多いです。
そのため、ターゲット層の嗜好の違いがデザインにも反映されていると言えます。
生産コストの問題
前述した通り、売れる数が少ないのに凝ったデザインや装飾をすると原価が跳ね上がり、生産コストと販売価格のバランスが取りにくくなります。
結果として、シンプルで地味めなデザインに落ち着きやすいです。



大型犬の場合は生地の耐久性も重要なので、その分原価が高くなりやすいのも、多くのブランドが参入しにくいところです。
可愛さと機能性のバランスが取れた大型犬の犬服を手に入れるには?
「大型犬でも可愛さと機能性を両立させた犬服を着せたい!」という飼い主さんも少なくないと思います。
そんな時におすすめなのが以下のような方法です。
- オーダーメイドなどの受注生産
- 在庫リスクがないので対応してもらえることが多いが、値段はかなり高くなります。
- オーダーメイドなら愛犬のサイズに合わせて作れるので、失敗のリスクが低くなります。
- 高級ブランドを選ぶ
- 値段は高いものの、使用している素材や縫製の質が高く耐久性もあります。
- ぱっと見シンプルでも洗練されたデザインが多いです。
- 海外ブランドを選ぶ
- 欧米発のブランドでは、大型犬用も多く販売されています。
- 質に関してはピンキリなので、SNSなどで下調べが必要かもしれません。
- ハンドメイドやリメイク
- 手作りなら自由にデザインでき、既製品では難しい細かな調整も可能です。
- 着なくなった古着をリメイクすれば、低コストで作ることができます。



自宅に縫製環境がない場合は、Creemaなどでハンドメイド作家さんにお願いするのもアリですよ
まとめ
日本における大型犬の犬服の種類が少なくてシンプルなのは、生産コストや在庫リスクと需要のバランスが取りにくい事情があるからなのです。
一方で、大型犬の飼育率が高いアメリカなどの海外ブランドでは、70kg級のサイズの犬服まで取り扱われていることもあり、需要と供給が合致すると商品数やデザインにも反映されてきます。



「犬服の市場規模」と「飼育文化の違い」が、そのままデザインの幅やラインナップの差につながっています。
ただし、日本でも大型犬と暮らすご家庭は一定数あり続け、SNSやペットイベントを通じて「大型犬でもおしゃれを楽しみたい」という声が少しずつ広がってきています。
そうしたニーズに応えるブランドは今はまだ少ないですが、「機能性×デザイン性」を両立した大型犬の犬服市場が今後注目される可能性は十分にあるでしょう。